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1991.春 その10

俺はプールサイドに壊してつくった出入り口から歩いてそこへ行くと思っていた。
ステイーブと8時にロビーで待ち合わせをして、俺はわかったようにプールサイドの方に歩き始めた。するとステイーブは俺を止めて言った。(Nao,うちの車が正面パーキングに停めてあるからそれで行こう!)そう言うとステイーブは正面にあるパーキングの方に歩き始めた。(おいおい、待ってよ!ヤバイんじゃない?車で出ると見つかるし8時すぎは戒厳令で外へ出てはいけないんだよ!)こんな時にお馬鹿な俺、、、
こんなクーデター真っ最中、フウキ委員長みたいな優等生もあるものか!、、、
だいたい、このアフリカ、エチオピアの地でどこだかわからないバラ色だか、ピンク色だかの男のワンダーランドに行くのだから、、、
俺はそう言ったもののステイーブに黙ってついて行く事にした。
車は昔々のカローラバン。こう言う後進国は例外なく日本の20万キロ位走りこんだ中古車だ。(キュルキュルキュル、、、キュルキュルキュル、、、バグウ~ン、、、)かかりは悪かったがいきなり白い煙を一発出してエンジンはかかった。(おいおい、ずいぶん派手な音!大丈夫?、、、)ニコッと笑ってそんなのお構いなしでステイーブは走り始めた。裏の道からプールサイドを通り壊したフェンスから抜け出た俺たちは一目散にワンダーランドに向かった。
10分位走っただろうか、すごく長く感じた俺は心配になりステイーブに訪ねた。(こんなに走ったらまずいよ!検問でもあったら捕まっちゃうよ!!)所どころに街灯はついているが人っ子一人いない夜のアデイスは、戒厳令がしかれている事もありすこぶる気味が悪い。ステイーブは俺の肩をたたくと(ほら、あれ!、、、)指をさした先には二階建てのコンクリートでできた建物。そして周りにはたくさんの車が、、、一階にはなんとBARだ!、、、
お客はたくさんいる。なんだこれは、、、こんな時にそれもこんなに堂々と営業している、、、
俺は予想はしていたがこんなにもあかあかと電気をつけて営業しているのを見てあきれた。
そんなところへ来ている俺たちにももちろんあきれかえる、、、
ステイ-ブは車を脇に停めて外に出た。そして俺を手招きした。俺も恐る恐る外へと出て店に入るとそこはもう、パラダイス!!カウンターBARにテーブル席が4席、その4席はもうすでに来ている客と女の子たちで埋まっていた。カウンターの少し高めのイスにはフリーの女の子が二人、こちらを見てニコニコしている、、、そんなに店はきれいではないが、薄暗い赤い光とアフリカンミュウジック、そして独特な匂いと悶々としたタバコの煙、、、
ここがクーデター真っ最中のアデイスなのか?、、、
俺は高鳴る胸を押さえるのも必死にステイーブに話かけた。(これって、やっぱり女の子お持ち帰りなの?、、、でも、まさかヒルトンに?、、、)ステイーブは得意げに人差し指を上に指さして(二階に行くわけよ、、、さあ!Naoはどの子?)どの子って、、、フリーの子は二人しかいないじゃない!、、、日本ならジャンケンポイで決めるのがお決まりだけどここでステイーブとジャンケンポイはね~、、、そんな事考えるまもなくステイーブは一人の女の子をつれてさっさと行ってしまった。こう言う時は外人はものすごく早い、相手の事などお構いなしだ。(おいおい、なんだよ!もうちょっと説明してくれよ!お金の事とか、時間とか、システムとか!、、、)おどおどしていると、カウンターから一人の男が出てきてまるで観光客状態の俺に近づいてきた。俺はこんな時一番危険を感じる。こんな場合だし、少し後ろめたい気持ちがあるもんだから、気をつけていないとボッタクレやすい、、、こう言う商売って男の弱みに付け込むのが多いから、、、新宿歌舞伎町あたりによくあるファッションマッサージのボッタクリにも似ている、、、
男は(8000円ポッキリ!)の看板に誘われて中に入ると入場料8000円をまず払い女の子がいる個室に案内される。ソファーに座るといきなり女の子は着ているシャツの上から人差し指で乳首をクリクリクリ、、、(やだ~もうこんなに元気!、、、楽しくしてあげるから一万円だよ~!)え~と思いながらも一万円払うとサッとしまってズボンと下着を脱がしあそこにパウダーをふりかけてシコシコシコ、、、手を早めてじっと見つめる怪しげな目、、、行く寸前あそこをビクっとさせると女の子は根元をギュッと締め上げて(まだ行っちゃだめ~もっとすごい事、してあげるから~一万円だよ~)アホな口調だ。そこで男は考える、、、入場料で8000円、中で一万円、合計18000円。ここで怒り出したってお金戻ってこないだろうし、、、このままではあそこがたまらない!、、、そこからが泥沼!
28000円、38000円、、、シコシコ、ぺロぺロで締め上げられ、巻き上げられる、、、
しまいにボッタクリに気がついてあばれだそうものなら奥から2、3人の不良が出てきて外に出されると言う訳、、、騙されるのも男の性ってやつ、、、
わかっていてもどこか気が緩んでいるとあの手この手で騙される。
男である以上男の性は隠せない、、、
カウンターから出てきた男はニコッと穏やかだが作り笑いのようで気味が悪い。エチオピア人であろう男は俺に言った。(ショート20分なら50、45分で100ドルだ!)って、、、
まさか20分でなんて、、、上にあがって、脱いで、、、あとシャワー浴びて、着替えて、なんてやってたら20分は無理でしょ?と思い、高いの安いのなんて考える間もなく俺は100ドル男に払った。っと瞬間、俺はまずい!と思った。ここで100ドル払ってしまったら、終わった後また女の子に払わされるのがつねだからだ。(だからステイーブ、もう少しいて説明してくれなくっちゃ!)、、、これもサバイブ、、、俺はもう一人しか残っていない少し小柄で目のパッチリしたおでこの広い女の子をつれて二階の部屋へ行った。部屋はコンクリートでできたワンルーム位でベッドとイスが一つ、こんな所に似つかわずきれいなシーツが敷かれていた。窓はあるが窓枠はなく、外と素通しで下からもれるアフリカンミュウジックをBGMに、はいていたジーパンと下着を脱いで簡単にたたむとイスの上に置いた。下半身は裸でシャツを着たまま靴下はいたままのこの時、いつも思うが一番こっけいでかっこ悪い、、、なぜ上から脱がないのか、靴下先に脱がないのかが、自分でもいつも不思議に思う、、、
彼女はそんな俺に抱きついて来ておもむろにシャツをたくし上げ俺の胸に頬をよせた。そして時折、上目ずかいで俺を見つめる、、、俺のおなかあたりに触れるはった乳房が心地いい、、、
俺は両腕で彼女をしっかり抱き寄せた。
こんな危険と隣り合わせに、、、いつ機関銃をかかえた軍服を着たゲリラどもが押し入ってきてもおかしくない中、男はほんの一息でも夢を見れるものなのか?、、、
これも、あれも、男の性と言うやつなのか?、、、
彼女の肌はつるつるできめ細かく、月の光に照らされて黒光りしていた、、、
俺は、、、
昇天!、、、

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