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1991.春 その8

外はカラッと晴れわたり、一見静まり返った町の中、、、
ここはエチオピア、アデイス、、、アフリカだ。
前の小高いパレスの森、、、メインストリートの街路樹、、、も日本やインド、ヨーロッパのそれとは違うダイナミックないでたちで向かい入れてくれる。そんな自然の木々をアフリカの鳥たちがいつものように飛び交う、、、
今まで俺はアジア、ヨーロッパ、南米、アフリカと渡り歩いてきたが、こんなに落ち着いて町並みを見て、感じた事があっただろうか、、、
いつもダイヤの値段や色石の相場にばかり頭が行き、あそこが安いと言えばそこに飛び、加工工賃が安いとなればそこへ飛ぶ、、、仕事の事ばかり、、、金の事ばかり、、、
町並みや自然やその国の文化などは俺にはどうでもよかった。考えもしなかった、、、
文化に触れると言えばその国の女の子と遊ぶ位で、、、そんな下世話な生活、、、
アジアを旅しているとよく日本人バイヤーが金に任せて女を抱え込みチャラチャラ遊んでいる姿を横目で見ていて俺は、(あんな下卑た男にはなりたくない!)なんていきまいていたんじゃないのか?、、、そんな下卑た男と俺はなんら変わりはないのではないか?、、、
そんな思いがつもりつのってくる、、、
これでいいのか?、、、考えてみれば初めてこんなに真剣に自問自答、、、
すべてを清算してまじめに美香の元へ帰って子供をつくり、楽しい家庭ってやつをつくり、盆暮れ正月にはちゃんと家にいてニコニコ笑っているよきパパになればいいのか?、、、
普通の家庭生活をすればいいのか?、、、
普通の家庭って?、、、
ボコタにはアニンがいる。彼女は俺のコロンビアでの仕事の要でもあった。
インドにはビジネスパートナーがいる。香港にはルイーサがいる。彼女もまた俺の金融の要。。。そんなしがらみをすべて捨ててしまえと言うのか?、、、
日本には会社がありたくさんの社員がいる、、、
人間はなんて愚かで醜いのだろう?、、、
そんな愚かで醜い道を自らつくりそこを走っている、、、こんなしがらみだらけの中、
うずもれ、もがき、あえいでいる、、、そのしがらみをつくったのも俺、、、変えようと思って、、、
急に、黒い幕ひき!突然そんな頭の中に幕がバンッ!としまり、今の自分、現実へ戻った。

俺はどこへ行っても写真を撮った事がない。記念撮影なんてやつも撮った事もない。
一つ一つの思い出やその時の自分を切り取りたくはなかったから、、、
そののこった、切り取った、その時の自分を見るのがいやだったから、、、
わかっていたのかもしれない、、、その時の自分、、、涙、、、

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